中学校古文を徹底的に読み込むー知識編・形容詞の活用

外国語を学ぶとき、その学び方は当然母語とは異なります。ちなみに「母語(ぼご)」とは幼少期から自然に学んだ言語のことです。幼少期に自然に学んだ言語ではない言語を新たに学ぼうとすれば、その言語の文法を知らなければなりません。

 

中学校に入ると文法をやるのは、古文をやるためです。実際には文法を知らなくても意外と問題にはなりません。だから中学受験でもほぼやりません。用言の活用すらまともにやりません。しかし中学に入るといきなり文法をやります。五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用などの活用をしっかり覚えさせられます。

その辺については過去記事でも取り扱っています。ここを読む前に下記のリンクでしっかりと現代国語文法を押さえておいてください。

品詞について知ろう!動詞の活用形1 五段活用の動詞

品詞について知ろう!動詞の活用形2 その他の動詞

品詞について知ろう!形容詞と形容動詞

 

今回は古文の形容詞の活用です。

 

古文の活用は「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「已然形」「命令形」となります。現代文法では未然形は「ない・う・よう」、連用形は「ます・た」をつけましたね。古文は現代文に比べると変化が少ないので未然形に「ず」、連用形に「て」をつけておけばわかります。あと現代文では仮定を示す接続助詞「ば」は、古文では未然形につきます。

とりあえずみていきましょう。

形容詞「赤い」を例にします。古文では「赤し」となります。

 

「ず」をつけます。「赤からず」です。「ば」をつけます。「赤くば」です。

ということは形容詞の未然形は「く」「から」となります。「く」を「本活用」、「から」を「補助活用」といいます。補助活用は助動詞をつける場合に使います。この場合「ず」は打ち消しの助動詞なので「かり」活用となります。

 

次に「て」をつけます。「赤くて」となります。また古文の形容詞の場合、助動詞をつける場合は「かり」を使います。例えば過去の助動詞「し」とつける場合は「赤くし」ではなく「赤かりし」となります。

ということは形容詞の連用形は「く」「かり」となります。本活用が「く」、補助活用が「かり」です。

 

終止形は「。」です。「赤し」です。

 

連体形は後ろに「人」「事」などをつけます。「赤き人」となります。助動詞「べし」をつける場合ですが、「べし」は基本終止形に、ラ行活用に着く場合は連体形につく、という決まりがありますので、この場合、助動詞と関係のある「カリ活用」の連体形につきます。そこで「赤かるべし」となります。

 

已然形は接続助詞「ば」をつけます。「赤ければ」となります。現代文の「赤ければ」と同じですが、意味は異なります。「赤いので」という意味になります。補助活用はありません。

 

現代文では形容詞に命令形はありませんが、古文ではあります。こちらは補助活用だけを使います。「赤かれ」となります。現代語では「赤くなれ」という意味です。

 

「く・から・く・かり・し・き・かる・けれ・かれ」となります。

 

以上の形容詞の活用を「ク活用」と言います。古文では形容詞の活用は実は2種類あり、もう一つを「シク活用」と言います。現代日本語でも形容詞の送りがなの問題で「新しい」のように「しい」と送る言葉がありますね。これは「シク活用」の名残りです。「ク」活用に「し」をつけただけです。

「しく・しから・しく・し・しき・しかる・しけれ・しかれ」となります。

 

問題は終止形では「ク活用」も「シク活用」も「〜し」となることです。

「シク活用」の言葉を見てみましょう。

「あたらし」という言葉を例にとります。「あかし」とあまり変わりません。現代語では「新しい」「赤い」です。

「あたらしくば」「あたらしからず」「あたらしく」「あたらしかりし」「あたらし」「あたらしき人」「あたらしかるべし」「あたらしければ」「あたらしかれ」となります。

よく使われる見分け方は「連用形にしてみる」です。「なる」をつけてみるといいようです。

赤し→赤くなる(ク活用)

あたらし→あたらしくなる(シク活用)

 

以下のサイトを参考にしました。

古文形容詞の基本:合格タクティクス

古文の形容詞の活用の一覧と覚え方:百人一首で始める古文講座

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