中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2022年日本史Bその2

2022年度の共通テスト日本史Bを、中学受験生が解けばどうなるか、をみていきます。

 

これは小学校で学ぶ日本史の知識がいかにあとあとまで影響を及ぼすか、ということの見本となります。基本的な知識を早い段階でつけておかないと、受験直前の間に合わせで得点を上げるための努力に追われることになります。

昨年度の分のリンクです。

中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその1

中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその2

中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその3

 

ちなみに中学の歴史は中学入試の社会に世界史を付け加えたものです。ほぼ流用できます。したがって中学入試は関係ないという方は、中学校卒業レベルとお考えください。

 

社会の担当者がよく言うことです。「数学の一点も社会の一点も同じ一点」です。ここの「数学」は苦手な科目を入れていただいて構いません。社会は努力すれば努力しただけの点数が取れます。

 

とりあえずみていきましょう。今朝の朝刊の共通テスト日本史Bの問題を手元においてみてください。

第1問はこちら。

中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2022年日本史Bその1

 

第2問は古代の律令制の問題です。

問1 600年の遣隋使の問題です。中学入試では607年しか習いません。実際にはこれでは困るわけです。

この辺についてはこちらで説明しています。

社会は暗記科目か3冠位十二階→憲法十七条→遣隋使の訳

一応問題文では「600年に派遣された遣隋使が日本の文献史料には記載がなく、中国の文献史料にのみ記載されていることを知った」とあって、一応習っていなくても「そうなんだな」と分かるようになっています。

そして選択肢です。

①この遣隋使の前に中国に使節を派遣したのは、100年以上前のことだった。

②この遣隋使の時に曇徴が帰国して紙や墨の技法を伝えた。

③この遣隋使の派遣以前に、冠位十二階や憲法十七条が定められた。

④この遣隋使は、新しい律令の施行を中国に宣言するために派遣された。

 

これについては、中学受験では『漢書地理志』『後漢書東夷伝』『魏志倭人伝』『宋書倭国伝』とそれぞれにざっくりした内容については押さえておきます。そして「倭の五王」以降はしばらく中国との国交がなくなる、という話もします。そこで①は正しい、ということが分かります。他を考える必要もなくなりますが、冠位十二階や憲法十七条が600年以降であるというのは知っています(由緒正しい塾ならば年号も暗記させられますね)。④はさすがにない、とわからないと困ります。問題は②ですが、曇徴が高句麗の僧侶であること、彼の渡来が610年であることを中学入試レベルで押さえる必要はありません。

 

問2

遣唐使とそれによってもたらされた文化について、8世紀の遣唐使と9世紀の遣唐使によってもたらされた文化の組み合わせを父問題です。8世紀分としてaとbが、9世紀分としてcとdが、それぞれ用意されています。

a 唐で仏教を学んだ僧によって真言宗が広まった。

b 遣唐使とともに来日した唐僧によって、正式な戒律が伝えられた。

c 阿弥陀如来が迎えにくる情景を描いた来迎図が盛んに作られた。

d  密教の世界を構図化し、図像として描いた両界曼荼羅が作られた。

 

中学受験をやっていれば、aが空海の話で、dが真言宗の話ですから、どちらも9世紀の話であることが分かります。そしてbが鑑真による律宗、cが平安時代の浄土教の話だということも理解してもらわなければ困ります。従ってこれは中学受験レベルでは楽勝問題です。

 

問3は史料問題です。まあこれについては無理しないで「解けない」ということで。

 

問4は史料問題である上に中学受験レベルを超えた出題なのでこれも「解けない」ということで。もっとも問3と問4は本当に得意な生徒ならば解いてしまいかねません。よく読めばヒントは各所にありますが、一応そこまで求めません。

 

問5は日本古代の法整備です。これもここまで解くのは難しいと判定します。

 

というわけでここは少し点が低く、6点です。

 

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