中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2022年日本史Bその3
2022年度の共通テスト日本史Bを、中学受験生が解けばどうなるか、をみていきます。
これは小学校で学ぶ日本史の知識がいかにあとあとまで影響を及ぼすか、ということの見本となります。基本的な知識を早い段階でつけておかないと、受験直前の間に合わせで得点を上げるための努力に追われることになります。
昨年度の分のリンクです。
中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその1
中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその2
中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2021年日本史Bその3
ちなみに中学の歴史は中学入試の社会に世界史を付け加えたものです。ほぼ流用できます。したがって中学入試は関係ないという方は、中学校卒業レベルとお考えください。
社会の担当者がよく言うことです。「数学の一点も社会の一点も同じ一点」です。ここの「数学」は苦手な科目を入れていただいて構いません。社会は努力すれば努力しただけの点数が取れます。
とりあえずみていきましょう。今朝の朝刊の共通テスト日本史Bの問題を手元においてみてください。
第1問はこちら。
中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2022年日本史Bその1
第2問はこちら。
中学入試受験生ならここまで解ける!共通テスト2022年日本史Bその2
第3問は「海域史」の問題です。「海」を人々を隔てるものとしてではなく、人々をつなぐものとして考え、「日本は島国」という見方を相対化するためのものです。
問1
中世の海と人々の関わりについての正誤問題です。④の選択肢を見れば「倭寇は国家権力による保護を得て、アジアを自由に移動した」とありますが、これは流石に誤りであることは小学生でも6年生ならば理解しています。
問2
年代順の整序問題です。
Ⅰ 毛利元就に従う海上勢力が、大坂(石山)本願寺に兵糧を搬入した。
Ⅱ 重源は東大寺再建のため、瀬戸内海を通じて周防国の材木を輸送した。
Ⅲ 平忠盛は海賊鎮圧などの功績を経て、貴族としても活躍していった。
これは少し頭をひねる必要はありますが、知識自体はそれほど難しい知識でもありません。平氏興隆のきっかけとなる平忠盛→東大寺南大門や金剛力士像とも関係のある東大寺再建→一向一揆の大坂本願寺という順番を正解するのは、かなり基礎的な問題です。
問3
絵を見て答える問題ですが、今回は絵をみなくても解答できます。
馬で荷物を運んでいる図ですから、馬借だな、と理解できないと難しいですが、社会がよほど苦手でもない限り、これくらいは思いついて欲しいものです。
X 図に描かれたような運送業者は、馬の背に荷物を載せて往来し、ときには徳政を求めて蜂起した。
Y 図に描かれたような運送業者は、近江国の大津や坂本など水陸交通の要衝を活動拠点としていた。
両方とも正しいのは一応わかります。
問4
史料問題です。『朝鮮王朝実録』から採っています。中学卒業レベルの古文の知識があれば、十分意味は取れますが、ここだけは中学受験レベルではどうしようもありません。もう少し簡単であれば、百人一首が好きであればなんとかなりますが、これは少し難しいでしょう。というわけでこれは解答できない、ということにします。
問5
地図上の遺跡の場所を当てる問題です。
X 和人を館主とする館の跡で、越前焼と珠洲焼の大甕に入った37万枚あまりの銅銭が発見された。
Y 沖合の海底の沈没船から元軍や高麗軍が使用したてつはうや矢束、刀剣、冑のほか陶磁器や漆製品が発見された。
Yが九州にあることは、小学校の範囲でわかります。Xについてはこれが函館市の志海苔にある志濃里館であることを知っている生徒はいるかもしれません。コシャマイン戦争絡みで出てきますが、そこまで習わない可能性は高いです。
ということで、これは半々という判定で行きたいと思います。
というわけで第3問の正答率は60〜80%ということで、社会科の得手不得手が関係するものの、まずまずというところです。