自宅学習をどのように充実すべきか
コロナウィルスで全国一律の休校が決まりました。いろいろ考えるところはありますが、ここではとりあえずこの二週間をどう過ごすべきか、ということについて見ていきます。
問題集を買って解きましょう。
おわり
冗談抜きです。
問題集をやりましょう。
今は三月です。ということは、今まで習ってきたことの総仕上げの時期です。ということはこの一年間に習ってきたことをしっかりと定着させればいいのです。そのためには問題集を買って(家にやっていない問題集があればなおよい)、それを一冊仕上げる、というのがいいと思います。
その時のポイントですが、あまり難しいものではなく、簡単なものの方がいいと、個人的には思います。とにかく最低限おさえておかなければならないことをしっかりと見ていく、それが大事です。
社会ならば地理・歴史・公民のうち習っているところ、小学生の場合、地理となるでしょう。まあ「小学地理」という問題集はあまりないので、とりあえずかなり簡単めの問題集をしっかりとやっておけば問題ないと思います。ちなみに塾のテキストがあって、それをやり直す、というのは非常にいいです。塾に行っていない場合は市販の基礎的な問題集をやることです。ポピーなどの家庭学習用教材を取っている場合は、それをしっかりとやっていればいいかと思います。
大事なのは、毎日少しずつでも勉強しておくことです。
ここで「簡単なもの」と言ったのは、理由は3つあります。
1 自分の弱点がわかる
簡単な問題集で間違ったところがある、ということは、そこのところがわかっていない、ということです。つまりそこが穴となって全体がくずれる、ということもあります。今のうちに穴をしっかりと埋めておく必要があります。この時期にしっかりと穴を埋めておけば、次の段階に進んでも足を引っ張られません。今の間に弱点をなくしてしまいましょう。
2 間違っても自分でカバーできる
家でやる場合、問題が一つあります。中学受験になりますと、実はかなり高度なことまで学びます。この時に高度な問題がわからなくてご両親やお兄さんやお姉さんに聞いてもわからない、ということが多々あります。これは彼らが悪いのではなくて、そのような難しいことを学んでいるのが原因です。受験生ならある程度はカバーしてくれます。そうでない場合は期待しないでください。
家の人が塾の先生とか学校の先生である場合の注意点を一つ。いわゆる「先生」は自分の担当科目は詳しいですが、それ以外はそれほど期待できません。期待しないように。小学校の先生はすごいと思います。全部やりますからね。それでも得意不得意はあります。
3 へこみにくい
問題集をやりながらへこむのは本末転倒です。自信を失っては元も子もありません。やはり気分良くいきたいものです。
国語の苦手な生徒に指導することがあるのですが、国語の成績がどうしようもないほど低い生徒の場合、そもそも日本語の文章を読むことがものすごく遅いということがあります。それはなぜかというと、圧倒的に文を読む量が足りていないのです。まずまとまった分量の文章を読む、というところから始めなければならないケースがあります。
そういう生徒さんには「自分の好きな本を何でもいいから読みなさい」と言っています。そういうと必ず「ないです」とか「家に本がないです」とか「家で本を読ませてもらえません」という言い訳が帰ってきます。そこで私は「新聞でも読んでおきなさい」と指示を出しますが、ここで問題が起こります。「新聞とか読んでいる暇があれば問題を解きなさい、と言われます」
いやいやいや、そもそもキャッチボールもできないヤツにいきなりスライダーを投げさせてどうするんすか、という話です。
国語の得意な生徒さんの保護者様は読書好きが多いような気がします。経験上のことで、統計を取って調べたわけではありません。しかし多分正しいと思います。そういう生徒は自分なりに好きな作品を持っていたりします。
逆に国語が苦手な保護者様は生徒さんの読書をかなり限定させるケースが目につきます。それどころか問題集や参考書以外の読書をやらせない。「そんなのんびりしたことを言っていられない」という焦りがあるのでしょうが、私に言わせていただければ「子どもさんはそんなのんびりと問題集を解いている場合ではない」と思ってしまいます。そもそも文章を読めないのに問題集を解いてもほぼ意味がわからないと思います。
国語はセンスだ、という誤った考えが世間にはまだまだ根強いようです。センスではありません。それまでの読書量の積み重ねの違いです。
では今からどうするか。今更焦ってもしかたがありません。まずは読書体験を今のうちに積んでおくことです。六年の夏休みになるとそんな余裕はありません。いまがラストチャンスです。
読書をさせてもらえない生徒のご両親は、多くの場合ご本人があまり読書をしない傾向にあります。自分が読書をしないから、どんな本を読ませればいいのか、自信がないのです。
そこで私からのアドバイスですが、読書好きの人はどんな読書も容認します。自分が読書を通じて世界を広げるのが好きな人は子どもの世界の広げ方を尊重します。自分にそういう体験の少ない人は、子どもの読書を信用できません。だからあれこれ口を出すのです。
私は『月刊タイガース』でも『鉄道模型趣味』でもいいと思っています。要は知的好奇心を持つことです。読書の一つの醍醐味は知的好奇心を満たせる、ということにあります。こういう『鉄道模型趣味』や『月刊タイガース』や『週刊ベースボール』は大人向きの文章で書かれていて、子どもが読むのには少し頭を使います。しかもこれらは全て説明文・論説文なんですよ。
知的好奇心を持てないのは環境のせいです。本人の資質の問題ではありません。
そこで国語がものすごく苦手な人は、簡単な問題集を解くのもいいですが、国語に関しては自分の読みたい本を読むことをお勧めします。それも大人向けの本を読んでみてください。というのは中学入試以上の入試では大人向けに書かれた文章が題材になるからです。小学生向けの本もいいのですが、それだけでは中学入試は突破できません。「読みたい本なんかないよ」という人は、とりあえず家に毎日くる新聞を読んでください。読んでいるうちに「あ、これ何やろ」とか「どういうことやねん」とか思うことが出てくるはずです。面白いと思った記事を切り抜いてノートに貼って、感想を書いて、自分で調べ出し、それを自分の言葉でまとめる、というところまで行くと、国語の力だけでなくあらゆる人間力が伸びるはずです。そうなれば成績も自然に上がることでしょう。国語の苦手な人はちょっと考えてみてください。
まとめると、この休校期間中の問題集は過去の振り返りのために簡単めの問題集を解くことによって、自分の穴を埋めるようにしましょう。国語の苦手な生徒はとりあえず大人向けの本を読んでみましょう。何もない場合は新聞がお勧めです。毎日きますし、何か面白い、と思うこともありますから。