やっぱり新幹線は重要!鉄オタでなくても覚えておくべき知識

中学の社会科教師の中には鉄道オタクがかなりの割合で混ざっていると思います。洛星中学ではズバリ「京浜急行電鉄」をネタにした問題が出ました。そっかー、京急ファンかー、という感慨があります。なかなか渋いところを突いてきます。

 

ただ以前も述べましたが、そして授業でもつねに言っていることですが、せめて新幹線は覚えましょう。

今更聞けない社会科の知識!新幹線は地理の知っておくべき重要アイテム

 

特に覚えておくといいデータがあります。東京ー新大阪と新大阪ー博多はそれほど距離が変わらないこと、いずれも500km強であることです。もう一つ覚えておくといいデータは、東京ー青森が700km強であることです。

京都府立乙訓高等学校鉄道研究部の部長だった私は、これに加えて東京ー西鹿児島(現鹿児島中央)を寝台特急(ブルートレイン)「はやぶさ」号と「富士」号は1500km強を走り抜けていたことを暗記しています。「富士」が日豊本線経由(つまり大分県と宮崎県を通る)のため、少し長いです。

 

これを頭に入れて日本地図を思い描くと大体の距離がつかめます。

 

例えば2010年度(平成22年度)の神戸女学院中学の社会の大問2では距離を問う問題が出ています。

 

大阪空港から奄美大島空港の距離を450km、600km、750km、900kmから選ぶ問題です。新大阪ー博多間が550km前後だとすると前の三つはありえませんね。以上です。

 

奄美大島から那覇空港までの距離を320km、420km、520km、620kmから選ぶ問題です。沖縄あたりは海が多く、地図も分割されたりするのであまり覚えていないことが多いのですが、東京ー大阪間と比べてどうだ、という感覚で選べば、後ろ二つは厳しいですね。二者択一になります。実際には320kmです。

 

沖縄から東京までの距離です。1150km、1350km、1550km、1750kmから選びます。

東京と博多が1100km前後です。はじめの二つはありえませんね。後ろ二つの二者択一です。ただ直線ですからね。1750kmだと遠すぎる、と思えるかどうかです。

 

東京から花巻空港までの最短距離です。350km、450km、550km、650kmから選びます。ポイントは岩手県の広さをなめてはいけません。都道府県の広さの2位は岩手県です。650kmは遠すぎます。ほぼ青森までいけますね。350kmは近すぎます。仙台あたりです。550kmは東京ー大阪とほぼ同じなので、盛岡あたりになります。花巻は盛岡より手前なので450kmが正解です。もっともこれは私がL特急「ひばり」(上野ー仙台)とL特急「やまびこ」(上野ー盛岡)の距離を大体頭に入れているからできる芸当で、こんなことを普通の女子に覚えさせるのはさすがに無茶振りです。真ん中の二者択一でいいかと思います。

 

いわて花巻空港から新千歳空港の最短距離です。295km、375km、455km、535kmが並んでいます。ポイントは「北海道の広さを見くびるな」です。札幌と函館でも東京と名古屋くらいの距離があります。ただし地図を浮かべればわかりますが、噴火湾が大きく曲がっているのでそれに沿って走るとかなり遠回りになります。その辺を勘案すると、295kmは近すぎです。535kmは遠すぎです。375kmか455kmまで絞り込めたら上出来でしょう。実際は375kmです。

 

この話のポイントは、主張空港間の直線距離を全部覚えますか?ということにつきます。これ覚えても出ない可能性の方が圧倒的に高いです。こういったデーターまで徹底的に覚えれば確かに点数は取れますが、普通は無理です。

 

それよりもベースとなる知識をしっかりと覚え、あとはそのベースとなる知識をどうやってフルに活かして考えて答えを導き出すか、ということに注力した方が、あとあと役に立ちます。

 

ただ知識を詰め込ませるだけならば、授業時間はそれほど必要としませんが、ここまで考えるならば授業時間は結構必要です。知識詰め込みの主力は家庭学習ですが、物事を考えるには厳選した使い回しのきく知識を覚え、それを運用できるテクニックまで必要だからです。

 

最近は関西では社会を選択しなくてもいい学校ばかりになって社会に関してはかなり減っています。中学入試の日本史をしっかりと身につけておくだけで前の共通テストは64点が取れることを示しました。

中学入試受験生ならここまで解ける!センター試験日本史B

 

社会を選択しなかった生徒も、彼らと勝負するわけです。最初からハンデが付いています。やはり社会はやっておくべきだと思いますし、たとえ社会で受験しなかったとしても、入学後はなるべく早い段階で社会の知識をしっかり補っておくべきだろうと思います。

 

ちなみに私は鉄道研究部の部長といいましたが、それを言うと生徒の目が一瞬尊敬の眼差しに変わります。実際には部員が私一人だったので、部長をやる人間が私以外にいなかった、という実情を言うと尊敬の眼差しは一瞬にして消え去り憐憫(れんびんーあわれみ)の笑みに変わります。

 

アイキャッチ画像は923形新幹線電気軌道総合試験車(通称イエロードクター)です。新大阪駅で偶然見つけました。

 

 

 

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