どこまで暗記するのか?中学受験地理の表問題の攻略方法
中学受験の地理問題の攻略方法です。
申し訳ありませんが、スマホでは表が切れてしまっています。ご了承願います。
中学受験社会地理分野の表問題
地理の問題でよく出るのが、表を使った問題です。この問題は苦手な人が多い印象です。確かに難問であるケースが多いです。しかし落ち着いて問題を見てみると意外と基本的なデータのみが使われており、意外と簡単な知識だけで解けます。ただデータをうまく使いこなさないと解けません。
そのために意外と大事なのが、生活感覚に密着した知識です。地理の問題全般に言えることですが、生活感覚がないと地理の問題は解けません。普段から自らの生活を見直している人と、何も意識していない人との間には大きな差ができてしまいます。机の前に座って字面だけ見ていてもなかなか興味もわかないし、それを覚えるのもはっきり言って苦痛でしかありません。しかし自分の生活に関係のあることならば覚えようとしなくても自然に身につきます。
例えば日頃からスーパーの食品売り場をよく見ている人ならば、りんごが圧倒的に青森産が多いことを勝手に覚えてしまいます。みかんは和歌山とか愛媛とか静岡とかが目につくでしょう。こういうことの積み重ねで、気がつけば地理の産物の知識は身についていきます。社会科というのは、自分の周りの社会がどのようなものなのか、を知る科目です。そのことを常に忘れないようにしたいものです。
表問題の実際
それでは表問題を見ていきましょう。東北地方のデータをまとめた表です。県名をすべて記号にしました。A〜Fのそれぞれがどの県のものか考えてみてください。
人口(千人) | 人口密度(人/㎢) | 米の収穫量(千t) | りんごの収穫量(t) | 漁業生産量(t) | 製造品出荷高(億円) | |
A | 2,323 | 319.0 | 355 | 3,050 | 248,470 | 41,389 |
B | 1,278 | 132.5 | 259 | 415,900 | 233,163 | 18,318 |
C | 1,102 | 118.2 | 386 | 47,100 | 5,698 | 26,875 |
D | 996 | 85.6 | 499 | 23,500 | 7,249 | 12,497 |
E | 1,255 | 82.2 | 265 | 39,600 | 120,761 | 23,897 |
F | 1,882 | 136.6 | 351 | 27,000 | 49,335 | 48,692 |
解法と解答
これを解くのにどれだけの知識を暗記せねばならないか、です。
りんごの生産高は青森県・長野県
米は東北では日本海側が中心(秋田県秋田平野、山形県庄内平野)で宮城県仙台平野でも
漁業は太平洋側(潮目がある)、主要漁港は八戸・宮古・石巻
工業は福島県
人口は宮城県(政令指定都市仙台市)
どうでしょうか。いずれも東北地方のかなり基礎的なレベルの知識だと思います。
実はこういう時に頼りになるのが、さきほど述べましたようにスーパーをウロウロすることです。お買い物に一緒に行くと、りんごのところに「青森産」とか、魚のところに「三陸海岸」とか貼られています。また米はいろいろな産地の米が並んでいます。こういうのを話題にすると自然に覚えます。机の前に座って用語集を一生懸命に暗記しているよりも生きた知識としてしっかりと身につきます。
解法を示します。
まず特徴的なものを見ます。東北ならばりんごが択一です。青森県です。Bが青森県になります。こういうのは地域ごとにあります。例えば関東地方のこんにゃく芋、かんぴょう、らっかせいで三つは完全に埋まります。みかんやピーマンやキャベツなどいろいろそういう作物はありますので、その辺は暗記するべきです。
人口も露骨です。一番多いAが宮城県です。
次に製造品出荷額を見るとFが福島県であるのがわかります。
漁業からEが岩手県であるのが分かります。
これで残るのは山形県と秋田県になりました。米売り場をウロウロしてみましょう。「あきたこまち」と「はえぬき」、どちらが見る機会が多いでしょうか。これは地域もありますが、京都府では「あきたこまち」の圧勝です。
果物はどちらが多いでしょうか。おうとう(さくらんぼ)や西洋ナシの栽培で上位に上がってくるのは山形県です。
以上の情報を勘案すればCが山形県、Dが秋田県です。
ただこういう難易度の高い問題は最後まで突き詰める努力は重視しない方が効率がいいと思います。
この問題は最高難度です。実際には全部を記号にせず、CかDを含めた一部の県名をあらかじめ表示する、とか、データにさくらんぼか西洋ナシを入れると急に問題が簡単になります。
ちなみに人口密度は解答には全く使いません。こういうダミーのデータを入れて撹乱するのは、よく使われる手法です。問題をみてすぐにどのデータを使い、どのデータがダミーかを見抜く思考力は、演習を通じてしか養えません。問題演習と解説によって少しずつ慣れていくのが一番の近道です。
先ほども言いましたが、地理分野の出来・不出来を決めるのは知識の多寡ではなく、子どもたちの経験値です。「受験生だから」と勉強部屋に閉じ込めず、色々な経験をさせた方がいいと思います。