送り仮名には原則があります

送り仮名で悩んだりしていませんか?

 

参考書を見れば「活用語尾を送ります。ただし例外も多いので一つ一つを確実に覚えましょう」と書いてあって思わず床に投げつけたくなります。

 

ここではそんな送り仮名で悩んでいる人に基本をお教えします。

 

1 まず以下の送り仮名を送ってみましょう。

みじかい

こころよい

かろやかだ

おさない

はぐくむ

いさぎよい

ことわる

あやまる(誤でも謝でもいい)

おぎなう

いちじるしい

おごそかだ

ほがらかだ

 

 

解答ができたら答え合わせをしましょう。

 

できましたか?

短い

快い

軽やかだ

幼い

育む

潔い

断る

謝る、誤る

補う

著しい

厳かだ

朗らかだ

以上です。一つも間違えなかった人は多分以下に述べる話を理解していると思います。一つでも間違えた、あるいは自信のない解答が一つでもあった、という人は以下に述べる「送り仮名の原則と代表的な例外」を理解していないからです。

送りがなについては文化庁が「送り仮名の付け方」を決めています。

https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/10/tosin01/02.html

 

先ほどの問題は「通則1」の本則、つまり送り仮名の大原則と例外⑴⑵、つまり代表的な例外を理解していれば100%間違えない問題です。つまり絶対の自信を持って答えられるはずです。

これを一つでも間違えた、あるいは一つでも迷った、というのであれば、送りがなの基本中の基本を理解していないことを意味します。

 

通則1

本則

活用のある語は活用語尾を送る。

何を言っているのかわかる人はここは飛ばして結構です。次に行きましょう。

わからない人は以下の部分を読んでください。

 

「活用のある語」というのは「用言」と言われますが、「動詞」「形容詞」「形容動詞」「助動詞」を指します。「助動詞」は原則的にひらがなで表記するのでここでは無視します。

「活用」とは文の中で語尾が変化することを言います。例えば「打つ」という動詞を例にとりますと、以下のように変化します。

「最近阪神、さっぱり打たないね」

「今日こそは大山がホームランを打ちますように」

「梅野、今日も打った〜!!!」

「今日も打つ!」

「高山が打つとき、何かが起こる」

「ここで金本が打てば、勝てるのだが」

打て!秀太!」

「よし、次のボールを打とう」

ここでは「打つ」という動詞の下の部分が「た」「ち」「つ」「て」「と」と変化していることに気づきましたか。これを五段活用と言います。

細かく言いますと「未然形」(「ない」「う」「よう」につながる)「連用形」(「ます」「た」につながる)「終止形」(「。」につながる)「連体形」(「こと」「もの」につながる)「仮定形」(「ば」につながる)「命令形」の順で並びますので「た、と、ち、っ、つ、つ、て、て」となりますが、今は無視してください。

 

他に「上一段活用」→「起き」ない、「起き」ます、「起きる」、「起きる」とき、「起きれ」ば、「起きろ」

のように「き」「き」「きる」「きる」「きれ」「きろ」と変化するもの、

 

「下一段活用」→「投げ」ない、「投げ」ます、「投げる」、「投げる」とき、「投げれ」ば、「投げろ」

のように「げ」「げ」「げる」「げる」「げれ」「げろ」と活用するもの、

「来る」→「来」ない、「来」ます、「来る」、「来る」とき、「来れ」ば、「来い」

「する」→「さ」れる、「し」ない、「せ」られる、「し」ます、「する」、「する」、「すれ」、「しろ」、「せよ」という種類があります。

形容詞は「まずい」を例にすれば「まずかろう」「まずかった」「まずくなる」「まずい」「まずいとき」「まずければ」と「かろ」「かっ」「く」「い」「い」「けれ」と活用します。

形容動詞は「クソだ」を例にすれば「クソだろう」「クソだった」「クソである」「クソになる」「クソだ」「クソなヤツ」「クソならば」というように「だろ」「だっ」「で」「に」「だ」「な」「なら」と活用します。

 

このような後ろの部分を「活用語尾」といいます。つまりいろいろ「活用」してみて変わるところを送ればいいのです。

 

本則を理解したら、次の問題は絶対に間違えません。

みじかい→短い

こころよい→快い

おさない→幼い

はぐくむ→育む

いさぎよい→潔い

ことわる→断る

あやまる(誤でも謝でもいい)→誤る、謝る

おぎなう→補う

いかがですか?いずれも活用語尾だけを送っていますよね。

 

「活用語尾を送る」

この原則をしっかり理解していればほとんどの送り仮名の問題はクリアできます。

しかし次の「例外」⑴⑵はよく出てくるのでこれも覚える必要があります。

 

例外⑴ 語幹(活用語尾ではないところ)が「し」で終わる形容詞は「しい」と送る

わかりやすい例が「新しい」です。活用語尾は「新しかろう」「新しくない」のように「かろ、かっ、く、い、い、けれ」なんですが、「語幹が「し」で終わる形容詞」なので「新しい」となります。

いちじるしい→著しい

 

例外⑵ 活用語尾の前に「か」「やか」「らか」を含む形容動詞は、その音節から送る。

ちょっとなに言ってるんだか分かんないです、と言いたくなりますが、こういうことです。

「暖かだ」は「か」を、「細やかだ」は「やか」を、「明らかだ」は「らか」を含んでいますね。

かろやかだ→「軽やかだ」

おごそかだ→「厳かだ」

ほがらかだ→「朗らかだ」

では、以上です。

 

こちらに続きます。

送り仮名には原則があります2

 

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