倭寇と日明貿易を通じて「論理社会」の可能性を考えてみた

室町時代は意外と国際的な時代です。日明・日朝貿易と倭寇の問題があります。

 

大体次のような流れになります。

 

元の力が衰え、漢民族による明が建国されたのが1368年、朝鮮半島では高麗が滅んで朝鮮が建国、これが1392年。

そのころ東シナ海沿岸では民衆による交流が盛んでしたが、九州沿岸や瀬戸内海の人々は中国・挑戦と貿易を行い、海賊となる人々もいました。彼らは倭寇と呼ばれて恐れられました。

明は室町幕府に対して倭寇の取り締まりを要求、三代将軍足利義満は倭寇の取り締まりとその見返りとしての公式な貿易を許可しました。義満は明から「日本国王」に封ぜられ、貿易船を派遣しました。この貿易船は倭寇と区別するために勘合という相札で私貿易船ではないということを証明していたため、勘合貿易と呼ばれます。おわり。

 

とこのように短くできますし、これを丸暗記させれば一応問題なく点はとれます。しかし「社会は暗記だ!」では今は点が取れても、これからは苦しくなりそうです。知識偏重から思考重視に移りつつあります。どうすればいいのでしょうか。

 

それには思考力、表現力の基盤となる力を育てればいいのです。それはどのような力で、どうやって身に付ければいいのでしょうか。それには広く深い知識を身に付ける必要があります。考えてみてください。何の知識もない人が思考力や表現力を発揮できますか?できませんね。ということは、確実な知識を身につけることは今後も必要です。

 

ただあまりにも細かい知識は必要とされない、ということになります。細かい年代は聞かれなくなるでしょう。前後関係を聞いてくることになると思います。あるいは同じ頃に起きた事件を選ばせる、とか、二つの出来事の関係を答えさせるとか、そういう方向に進むのではないか、と想像されます。語呂合わせは早晩時代遅れになります。

 

例えばこの時代の貿易問題ならば、平清盛の日宋貿易と足利義満の日明貿易の違いについて述べさせる、とか、高校・大学レベルになると天龍寺船・建長寺船や蒙古襲来と関係させて出題する、などのやり方が考えられます。

 

日宋貿易と日明貿易の性質の違いについて述べなさい、という問題については、義満が日本国王に封ぜられていることを踏まえないとだめです。さらには宋と明の違いについても、「人臣に外交なし」という明の原則を理解しなければきちんとかけません。そこに琉球の「万国津梁」という言葉をからめることもできます。

 

こういう問題を解けるためには、深い知識が必要です。重箱の隅をつつくような年号の問題ではなく、ある歴史事象の裏側まで掘り下げる能力と、それをしっかりと説明できる表現力を身につける必要があります。

 

こう言った視点からの入試科目としての社会のあり方を少し考えていきたいと考えています。「論理社会」とでもいいましょうか。そういう「暗記科目」からの脱却を考えなければならない時期にさしかかっています。

 

また少し考えて書いてみたいと思います。

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